「安くて使いやすいモノ」を
求める幻想に抗うには、
身を捨ててこそ、
浮かぶ瀬もあると知った。
− Top Message −
代表メッセージ
幼い頃、先代である父に連れられて、とあるホテルを訪れた時のことが忘れられません。
大栄木工が建具を手掛けた、清雅なホテルのロビー。
足を踏み入れた瞬間、言葉では言い尽くせない「何か」に身体が動かなくなる。
あれはいったい、何だったんだろう。
思い返すと、その頃の頃の私は妖怪や怪獣、幽霊、怖い物語が大好きでした。
小豆洗いなんて、川の近くで小豆を洗ってる音だけが聞こえてくる。
姿は見当たらないけど、なんだかゾクゾクする。
よく考えると、つながってるんです。
大人になり、あの「何か」が少しずつ見えるようになってきました。
流れる空気ごと仕切る扉、風に揺れる木の影が浮かぶ障子や襖。
奥に広がる風景を想起させるように、静かに佇む建具たち。
それを為すのは、五感を頼りに、木の癖を職人の手で読み取る直線美。
数年後、数十年後の使い心地まで見越して仕上げる配慮
身体性と精神性が滲む日本のものづくりに、
幼い私は圧倒されたのかもしれません。
代を受け継ぐ番が来て、もうすぐ15年。
見えない価値を守っていくことの難しさも痛感してきました。
長期にわたるデフレ経済、倒産の危機、
「安くて使いやすいモノ」が求められる実情。
私からすると、それこそ幻想だったけど。
ただ、私たちが見えないところに潜む
美しさを感じる心を見失わなければ、
その価値を世の中に遺していくことはできるはず。
そう信じて、日本的な身体性と精神性の宿るものづくりを
お届けする集団であり続けたいと思っています。
3代目 代表取締役
能登 一志